フレン小隊との遭遇  

 鬱蒼と生い茂る森は深く、暗く、時折こだまする魔物の声とあいまって、不気味なことこの上なかった。
「ほほほ……本当にユーリ・ローウェルめはこの森を抜けたのか……怪しくなってきたのだ」
「ままま……間違いないはずであ〜る。他にハルルに向かう道はないのであ〜る」
「ばっかも〜ん! シュヴァーン隊の騎士がこんな森一つでびくびくするでな〜い!」
 おっかなびっくり森を歩く影は3つ。ルブラン小隊長と部下の下級騎士、アデコールとボッコスだった。
「ル……ルブラン小隊長はどこでも声が大きいのだ……」
「おかげで魔物も寄りつかないのであ〜る……」
「おいおまえたち、無駄口を叩くヒマがあったら、きりきり歩かんか! こうしている間もユーリ・ローウェルはエステリーゼ様を連れて先を行っているのだぞ!?」
 ユーリとエステリーゼを追って城を出たルブラン小隊がまず目指したのは、北のデイドン砦だった。
 2人がハルルに向かったらしいことはすでに報告を受けている。あの街へ行くなら必ず通らねばならない砦には巨大な門があり、そこを閉じれば猫の子一匹ハルル側には出られない仕組みになっていた。また、そこには騎士団の詰所もある。急ぎ向かって、一時的にでも門を閉鎖すればローウェル逮捕はずっと容易になるはずだった。
 だが、世の中そううまく事が運ぶわけもなく、今はクオイの森という普段あまり人が立ち寄らない場所に足を踏み入れるハメになってしまった。
「しかし、ルブラン小隊長殿。本当にヤツめはここを通ったのでありますか?」
 身長が低い分、ほかの2人とは違うものが目に飛び込んでくるのか、ボッコスはずっとびくびくしていた。
「何度も言わせるな。デイドン砦が封鎖されている以上、ハルルに向かうにはこの道を通るしかないからな……」
 口ひげを震わせルブランはぎりぎりと歯をかみしめた。
 デイドン砦にルブランたちが到着した時、巨大な門はぴたりと閉じられ、旅人たちの大半が足止めされている状態だった。奇跡ともいえるタイミングで平原の主が現れたのだ。巨大な魔物の群れを前にして、さすがのユーリ・ローウェルも平原を行く道を選ぶことはしないだろう。
 ルブランたちはこれぞ天の助けとばかり、砦中を探しまわり、聞き込みをしたのだが……。
「ユーリ・ローウェルめ……いったいどこでこの森のことを聞きつけたのか……」
 ユーリはおろか、エステリーゼ姫の姿もない。だが、2人のことは多くの旅人が目撃していた。迫りくる魔物の群れを前にして、2人は自分の身も省みず逃げ遅れた人々を助けたのだ。旅人たちは、2人がまさか騎士団に追われているとは思っていないようで、むしろ騎士団から表彰してしかるべきだという意見まで口にする始末だ。
「むううぅぅぅぅぅうううう……」
 ルブランは唸った。ユーリ・ローウェルはそんなヤツなのだ。情に厚く、弱者を決して見捨てない。そんな男がなぜ姫君とともに帝都を出るなどという暴挙を犯したのか……。
 とにもかくにも砦に姿がない以上、2人が別ルートを選んだのは明白だ。今さら城に戻るということもないだろうが、ルブランは砦に別動隊を残し、アデコールとボッコスを引き連れ、この森に足を踏み入れたのである。そうすると案の定、途中のやや広くなった場所で誰かが休息を取った形跡があった。
 ローウェルと姫君だとは限らないかもしれないが、他にこの森を通ってまでしてハルルに向かいたい者はいないはずだ。大方の一般人には知られていないはずだし、どうも知っていたと見受けられる幸福の市場の女社長ですら、砦で大人しく待っていたのだから。
「どこまで行っても薄気味悪い森なのであ〜る」
「本当にとんでもない奴なのだ、ユーリ・ローウェルめ!姫様にこんな森の中を歩かせるなど……」
 デコボココンビは押し黙った。ギルドの女首領までもがここを選ばないのには理由があるのだ。
「いつまでたっても出口は見えないし……あの噂は本当かもしれないのだ」
「そうなのであ〜る。きっとローウェルと姫様も今ごろ……」
「ばっかもーん!!!!」
 即座にルブランが叱りつけた。
「不吉なことを言うな! 呪いなどくだらん噂にすぎん! この森には各段に強く凶暴な魔物も住んでいるから、誰も通らぬだけだ」
 ルブランの言葉は「呪」の噂以上にデコボココンビを委縮させた。
「つつつ強い魔物が……」
 アデコールの口ひげがぷるぷると震えれば、ボッコスの短い足もがくがくと震えだした。
「ここここの森のどこかに……?」
「おまえたち、しゃきっとしろ!そんな体たらくでユーリ・ローウェルを捕まえられると思っているのか!?」
 顔を真っ赤にして怒りをあらわにする小隊長に対し、2人の下級騎士はどこまでもおよび腰だった。
「もう2人ともその魔物に食べられちゃったかもしれないのだ」
「我々も早くここを出た方が安全なのであ〜る」
「まったくお前たちときたら………」
 どうやらこの2人が居丈高に振舞うのは民間人相手の時だけのようだ。
「ローウェルは必ずこの森のどこかに居るはずだ。まずは見本を見せてやる。よーく聞いておけ」
 ルブランは大きく息を吸い込んだ。
「ユーリ・ローーーウェル! 森に入ったのは分かっている!素直にお縄につけい!」
 あまりの大声に、2人の下級騎士はひっくり返りそうになった。
「どうだ、さすがのきゃつも恐れをなすに違いない」
 ボッコスは微妙な顔をした。アデコールにこそこそとささやく。
「こんな大きな声で叫んだら、ユーリ・ローウェルに気づかれてしまうのだ」
「もっともであ〜る。小隊長殿は何でも叫びすぎなのであ〜る」
 そして2人は顔を見合わせる。さきほどルブランが口にしていた各段に強くて凶暴な魔物にも自分たちの居場所が分かってしまったのではないか? 思わず周囲を無駄に見まわしてしまう。
 おどおどしている部下2人にルブランは眉根を寄せる。
「ほれお前たちも叫んでみろ!ユーリ・ローウェルを観念させるのだ!」
 ルブランにせっつかれ、仕方なく2人は声を張り上げた。
「す…素直に出てくるのであ〜る」
「い、今ならボコるのは勘弁してあげるのだ〜」
 張り上げたつもりだったが、2人とも声が震え、びくびくしているのが手に取るようにわかる。
「噂ごときでおびえるとは、それでもシュヴァーン隊の騎士か!」
 ルブランは唾を飛ばして叱りつけた。
あれほど噂は噂にすぎないといったのに、この体たらくとは何たることか。
「しょ……小隊長殿。もしかして2人ともすでに森を抜けているかもしれないのだ」
「そそそ……そうなのであ〜る。なので我々も急いでハルルに向かった方がいいのであ〜る」
 ルブランは思案顔になった。怯えてるだけかと思っていたが、確かにこの2人のいうことももっともだ。デイドン砦で聞き込みをした限りでは、ローウェルに遅れを取っていることは明白だからだ。
「ふむ、そうだな。この道をそのまま進めばもうすぐ出口のはず」
 騎士は時に表立って行動出来ないことがある。そんなとき、デイドン砦ではなくこの森をひそかに抜けてハルルに向かうことがあった。ルブランもまた他の者たちと一緒に、過去に通っていたので道は有る程度知っていた。
「おまえたち、森を抜けるまで一瞬たりとも気を抜くでないぞ! ローウェルか姫様の姿がないか目を皿のようにして探すのだ」
 アデコールとボッコスの顔が輝く。この暗くて薄気味悪い森を抜けられるなら皿どころかお盆くらい目を見開いてもいいくらいだ。 
「ここの角を曲がれば外の光も見えてくる。まったくシュヴァーン隊の騎士たるもの、もっと堂々と……」
 自信満々に先頭をきって歩くルブランだったが、その足がぴたりと止まった。
「……行き止まりなのだ」
「茂みしかないのであ〜る」
 下級騎士はそろって小隊長を見つめた。ルブランは信じられない面持ちで目の前を凝視する。
「いや……そんなはずは……」
 だがどこをどう見ても、行き止まりだ。クオイの森には、たまに騎士団が整備に入るから、ハルルに向かう道が自然に途切れてしまうということもないはずだ。
「ルブラン小隊長殿、途中で道を間違えたのだ」
「もしかして我々は迷ってしまったかもしれないのであ〜る」
「ええい、うるさいぞ、おまえたち!」
 ルブランは肩を揺らして来た道を引き返した。
「久々だから、近道をしようとして失敗しただけだ。こんな森、すぐに抜けられるわい!」
「待っ待ってください、なのだ!」
「こんな所に置いて行かないで欲しいであ〜る!」
 2人の下級騎士は慌てて小隊長の後を追った。


 3人が遠ざかってからしばらくして、茂みの中からごそりと男が現れた。
「おいおい、ちょっと見れば分かるでしょー?」
 派手な紫色の羽織をまとったざんばら髪の男だ。
 ため息とともにぽりぽりと頭を掻く。
「世話が焼けるわねー」
 つぶやいてから詠唱を始める。
「風よ、切り刻め……」
 放たれたウインドカッターが茂みを切り刻む。ひょいひょいと枝葉を脇においやると、道が開いた。遠くには森の出口も見える。
「俺は先に行っとくからねー」
 ふっと笑ってから、男はその場から立ち去った。

   * * * * *

 ソディアは剣を抜き、上段に構えた。
「おい貴様、こんなところで何をしている!」
 胡散臭い男だった。胡散臭さが具現化したらこうなるのではないか……そのくらい胡散臭かった。
 いかにもギルド風の出で立ち、派手な紫色の羽織、ぼさぼさの髪、手入れが見られない無精髭。
 しかも、一見ぼーっと突っ立っているようだが、隙のない佇まい……ソディアにはそう感じ取れた。
(こいつ、ギルドユニオンの幹部クラスではないのか?)
 一人で自由に行動しているところを見ると、その可能性は高い。
 しかも、こんな帝都と眼と鼻の先でだ。
 今、マイオキア平原には「平原の主」が現れ、多くの旅人が平原を通ることがかなわず、ハルルの街に滞在するかノール港まで戻っている。この男もそんな旅人の一人だろうか。にしては、こんな場所をほっつき歩く理由が見て取れない。
(アスピオは帝国の管理下にある。民間人の立ち入りはできないはずだが……この男、ここに何の用がある?)
 フレン小隊は、結界の能力を失ったハルルの樹を治すため学術都市アスピオに向かい、魔導士を要請することにした。魔導器学の第一人者である街一番の天才魔導士は、人嫌いの上気難しい人間であるため(多くの者は“変人”扱いしていた)、フレン小隊長はたった一人でその者の家を訪ね、要請をしている最中だ。
 その間、街の側で副官のソディア以下、残りの騎士たちは駐屯していたのだが、周囲に異常がないか巡回しようとした矢先にこれである。他の騎士は少し離れたところに居たが、大声を出して呼びつけるのは彼女のプライドが許さなかった。
(白か黒かはっきりするまでは、私一人で十分だ)
 ソディアに睨まれ、男は困ったように頭を掻いた。
 わりと気配は消していたつもりなんだがねぇ…と声には出さず、口の中でつぶやく。
「おい、何をぶつぶつ言っている!」
「いや、人は見かけによらないっていうけど…ホントだと思いましてねぇ」
 へらっと笑う男にソディアのまなじりが吊り上がる。
「貴様、見かけによらずとはどういうことだ! 侮辱しているのか!」
 フレン小隊長の副官に抜擢された際、その若さと性別のせいで陰口を叩かれたこともあった。色じかけを使ったのではないか、そんな愚かな言葉を口にするものさえいた。
 だからこそ、ソディアは常に強い言葉を発し、決して弱いところを見せなかった。
 男は慌てて手を左右に振った。
「ああ、違う違う。けっこう感情的に見えたってこと。でも、ちゃんと周囲も見れてるし、気も抜いてないし、剣の腕も高そうだし、対応も意外と落ち着いてるし、すごいなーって思ったのよ。ギルドには向かないっぽいけど」
「当たり前だ!!!! 帝国騎士たる私が、なぜギルドのようなならず者集団に入らねばならん!」
 声には女性らしからぬ凄みがある。
「いや…入れとまでは言ってないんですけど……」
 こんなに頑なだったらスカウトも出来ないわよと男はぼやいている。だがその目は騎士を軽んじている風ではなかった。むしろ、騎士にこそ向いている……そのような感じがしてソディアは一瞬戸惑った。
(なんだこの男……それに)
 男の浅黒い肌、青みがかった碧色の瞳、黒い髪……。
(どこかで見たような……?)
 ソディアを強い既視感が襲う。
「おまえさん、副官でしょ。ならいいわ。これ大事な手紙だから小隊長さんに渡してくんない?」

 
懐から取り出した一通の封書を、男はソディアに手渡す。
「偉い騎士さんから頼まれたのよね。フレン小隊長に渡せって」
 渡された封書の裏側を見て、ソディアの目は大きく見開かれた。
 くいいるように見つめ、ごくりと喉を鳴らす。封蝋にきざまれた紋章は間違いなく騎士団のもの……それも隊長クラス以上でなければ使用できないものだ。小隊長の副官にしかすぎないソディアには無論この封蝋を開くことなど出来はしない。権限を持つのは小隊長以上のみ。
 もう一度ひっくり返して表側を確認するが、こちらも真白だ。差出人も宛名もない白い封書。だが、紙は非常に上質で、騎士団特有の文様もうっすらと入っている。
 とてもギルドの人間が持てる代物ではない。
「貴様、これをどこで……」
 ソディアは言葉を失った。
 先ほどまで目の前に居て話をしていたはずの男の姿がどこにもない。
「な………?」
 周囲を見渡すが気配のカケラも感じ取れない。
 まるで白昼夢を見ているようだったが、夢ではないことはソディアにも分かっていた。
 手の中にある一通の封書。
 男を取り逃がしてしまったことは、あるまじき失態だったが、男の素性以前に重要な事項がある。
 出所はどうであれ、これは必ずフレン小隊長に渡さねばならない。
 封書の重みをソディアはかみしめた。



 小隊長が戻ってきたのは、胡散臭い男との遭遇から間もなくであった。
 ソディアはすぐにフレンに報告に上がった。取り出した封書の裏側を見るなり、フレンの顔色もみるみるうちに変わった。
 すぐに人払いをし、テントの中にはフレンとソディアの2人だけが残った。
 ペーパーナイフを取り出し、丁寧に封を開ける。
 ソディアは緊張した面持ちで上官の様子をうかがった。
 入っていたのは一枚の紙。そこに数行、美しい筆跡で言葉が綴られている。
「間違いない。シュヴァーン隊長の筆跡だ」
 当然ながらソディアも良く知る名前だ。むしろ騎士団にいてその名を知らぬ者などいないだろう。隊長首席シュヴァーン・オルトレインは、騎士団長アレクセイに次ぐ地位に居る人物だ。アレクセイの懐刀として特務に当たることが多く、帝都で見かけることは滅多にない。
「これをギルド風の男が?」
 フレンに問われ、ソディアは唇を噛んだ。やはり、どう考えてもおかしい。
「はい……」
 筆跡まで同じとあれば、偽造されたものとは思い難い。とくにシュヴァーンは表に出ないことが多いため、騎士団を除けば、筆跡はおろか顔も知らぬ者の方が多いだろう。
「もしかすると、その男はシュヴァーン隊長の部下の一人かもしれない」
 騎士の姿で都合のよくない場合は、市井に紛れるため鎧を脱ぐこともある。だが騎士が騎士に接触するのに、わざわざギルドの人間を装うものだろうか。腑に落ちないのはその言葉を口にしたフレンも同様だろう。
 だが、詮索している時間が惜しいのもまた事実のようだった。
「ここには『探しもの』についての新たな情報が記してある」
 ソディアの顔色が変わった。フレンの旅が単なる巡礼の旅ではないことは、小隊の騎士みなが知っていた。本来ならば何よりもまず「探しもの」の奪還が最優先事項なのだが、フレンは目の前で困っているハルルの街の人々を見過ごせなかったのだ。
「カプワ・ノールの執政官ラゴウに妙な動きがあるそうだ」
 ソディアもその名は耳にしたことがある。評議会の中でもかなり高い地位にある人物だ。
「相手が執政官ともなると、おいそれと手を出すことはできないだろう……先に別動隊をノール港に派遣し調査に当たらせる間、僕はシャイコス遺跡を調べる」
「そこに何が……?」
「どうも、執政官殿はギルドの者ともつながりがあるらしい……」
「シャイコス遺跡の盗掘の件のことですね」
 文書の内容を知ることは、ソディアには許されない。だが、フレンがこうして伝える内容からして、かなり重大な情報が書かれていたことは容易に想像できる。 
「ソディア、君は騎士数名を連れ、先にノール港へ行ってほしい」
「しかし、フレン隊長は」
 フレンが「モルディオ」の要請に失敗したのは別の者から聞いていた。
「大丈夫だ。とても優秀な魔導士が協力してくれることになったからね」
 フレンは立ちあがり、テントの外へ出て誰かの名を読んでいる。戻ってきた時、彼の後ろには小さな人影がくっついていた。
「彼はウィチル。今回の要請に応じてくれた魔導士だ。まだ幼いが、魔導士としての能力は大変素晴らしいものがある」 
 紹介された魔導士は本当に幼い少年だった。10歳にも満たないようにも見える。
 ぴょこんと飛び出した髪の毛の先から、ローブのすそからのぞく小さな足先まで品定めをするように眺めてから、ソディアは深く頭を下げた。
「御協力、感謝する」
 ウィチルは目を丸くした。
 自分がまだ子供であるせいで、外部の人間に軽んじられるのは日常茶飯事だった。だが、要請をしたフレンも、そして今頭を下げる副官の女性も、まったくそんな様子がない。
「そ、そんな頭を下げられても困ります。帝国の要請に応じるのが僕たちの役目ですから」
「役目に応じない魔導士もいるがな」
 ソディアの口調に棘を感じ、ウィチルは助けを求めるようにフレンを見上げた。
「仕方なかった。もともと快諾してもらえるとは、僕も思っていなかったしね」
「それはおかしいのではありませんか!」
 どうしても納得できなかった。相手のためにわざわざ一人で訪れたフレンの思いを、そのモルディオは踏みにじったのだ。

「彼らの義務は帝国の要請に応じることです!それが出来ないのであれば罰則を科し…」
「ソディア。気分が乗らない人を無理やり命令に従わせても、その能力は半分も発揮されない。僕はそう判断したんだ」
 それ以上、ソディアは言葉を吐き出すことができなかった。確かにフレンの言うとおりなのだから。
「それにウィチルは本当に優秀な魔導士だ。彼さえよければ、『探しもの』の件もあるし、しばらく隊に同行してもらうつもりだ」
「あ、僕はかまいませんから」
「すまないな」とソディアが言うと、ウィチルはにっこり笑った。
 リタ・モルディオの代わりというのが少々ひっかかるところもあるが、ウィチルには広い外の世界も知りたい思いもあった。きっとまだ自分の知らない様々な術式が存在するはずなのだ。
「では、これからの隊の動きだが……」
 ウィチルを加え、フレンは2人に今後の方針を説明した。



--------------------------------------





※読まなくてもいい話※
ルブラン小隊……セリフの一部はゲーム本編から。
フレン小隊……箱版をプレイした時点で、ここのお話でフレンとレイヴンを会話させようともくろんでましたが、PS3版をプレイした結果、フレンとの会話は断念しました……。ソディアは、ヘラクレスでレイヴンを見るなりシュヴァーン隊長と言ってたので、たぶんフレンよりは気づくの早かったかも?と思いまして、こんな話に。ちなみにここでのソディアの反応のその後は、ヘリオードでシュヴァーンと会った際のお話に書こうと思います。何か月後先なんだ……。
(余談ですが、スタッフの方のインタビューからもソディアって相当強いみたいですね。ウィチルも)
あ、フレンが訪れた時のリタの反応ですが、たぶん剣もほろろだったかな…と。温泉イベントでちょっと照れながら「今だったら要請を受けてた」みたいなことを言ってたリタが可愛くて。後悔?みたいな感じに受け取れたので。
それにしても急いで書いたので、矛盾とかあるかも。いったんアップしますが、近日中に若干修正するかもです。
      トップへ戻る
2010. 4.25















 

g